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執筆者: 酒井謙吉
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翻訳という仕事は、今までにこのコラムでも書いてまいりましたように、細かい神経を使う地道な作業の連続であり、完成するまでに本当に息の抜けないものになります。そこで何となく「翻訳は大変な仕事なんだ、でもその割にはあまり報われない仕事なんだ」というような誤ったメッセージが伝わってしまっていては大変と思いまして、新年の始めにあたりまして少々自省の念を込めましてこのコラムを書いております。しかしながら、翻訳者にしか味わえない仕事の醍醐味というものが翻訳の仕事の中にも間違いなく存在するということも事実であります。では翻訳の仕事の醍醐味とはいったい何であるのか、自分の経験を照らし合わせて皆様にお伝えしてみたいと思います。

アメリカの人気探偵小説ものの翻訳を継続して翻訳なさっている売れっ子の翻訳家の方が、ある雑誌のインタビューの中でおっしゃっていたことがあったのですが、翻訳者としての自分自身が小説のストーリーの中に溶け込んでいって、次に来る台詞を読まなくても「ああ、次はこうなるのかな」ということが感覚的につかめる、このような状態で翻訳できた作品は、後から読んでみても翻訳した言葉に躍動感と力に溢れていると表現されていました。逆に書いてある内容がよくわからずに徹底的に調べてあげて訳したものには、機械的な言葉使いになってしまう傾向にあると申されておりました。

これは、何も探偵小説ものだけに適用される翻訳者の心情ではなく、まさに翻訳者が翻訳するときに体験する普遍的な経験則ではないかと思います。私どもが通常翻訳をするビジネス文書や技術文書の場合であっても、翻訳者が書いてある内容にある程度、自分自身を投影することができなければ、翻訳の完成はできても、なんだか力ずくでねじ伏せてやっつけたというような印象が残り、決して後味のよいものにはなりません。逆に、自分が今まで経験してきた専門分野や業務について書かれてある内容のものであれば、「これは自分が翻訳をするために書かれたような文書だ」と確信し、「もう誰にもこの翻訳は渡せないぞ」というような気持ちになります。その様な心理状態の中で翻訳する時間は、まさに至福のひとときであり、マラソンランナーが感じるところのランナーズハイならぬ、「トランスレーターズハイ」という心境が訪れます。

私の知り合いで日本の自動車関係の技術翻訳を専門に行っているアメリカ人女性の翻訳者を知っています。彼女は週末であっても、気が乗れば近くにあるお気に入りのジャズのかかっているコーヒーショップにPC持参で出向き、カプチーノをすすりながら和英翻訳をしている時間が自分にとって最も生きがいを感じる時間だと私に話してくれたことがありました。私の大学時代の専攻は、化学でしたが、その後の職業生活でもっぱら半導体製造技術の世界にどっぷり浸かっておりましたので、電気や機械、デバイスそして半導体製造装置などといった分野の翻訳依頼が私に来れば、それはまさに自分の天職の仕事がやって来たと感じるようにさえなりました。

翻訳のもうひとつの醍醐味としては、誰も知らない未知なる世界に翻訳者を導いてくれるという体験があります。もちろん、日常の業務の中では、ある決まった分野での翻訳依頼が来るのがほとんどではありますが、まれにまったく経験もしたことのない分野や技術の翻訳依頼の入ることもあるのです。以前、あるアメリカ人の発明家が日本への特許出願を行うに際して、その特許公開仕様書の翻訳をしたことがあったのですが、発明家のその奇抜なアイデアに度肝も抜かれたことがありました。その様なアイデアが特許になるということ自体、自分にとっては知る由もないことでありました。

よく私の会社には、「自分は英語が大好きだから翻訳をやりたい」といって、翻訳者のポジションに応募されてくる方が少なからずいらっしゃいます。私の経験から言うのですが、英語が大好きなだけで翻訳をするというのは翻訳者になるための動機としては十分ではないように思います。英語を通して何がやりたいのかというところまで突き詰めて考えたことがなくて、翻訳ならできるのではないかというのはちょっと甘いのではないかなと感じます。英語を通じて、言葉の世界、専門分野や異文化などを勉強し、認識していくことによって、まともな翻訳が少しずつ出来るようになるような気がします。つまり、少なくとも「トランスレーターズハイ」を感じるまでには、それ相当の経験と時間、そして場数が必要ではないかと思う次第です。新しい年に先立ちまして、私からのアドバイスとしてご理解いただけましたら幸甚です。

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